労災奮闘記(5)原告主張(ノルマ)

「達成困難なノルマが課せられた・対応した・達成できなかった」の該当性

原告が担当していたCT専従業務にはノルマが課せられていた。

読者のために説明するとCT専従業務とは管轄厚生局に届け出された人で、その人の勤務の8割以上をCT業務とすることで、保険点数上の加点がなされるというものである。この制度を利用することで2015年当時は1件当たり500円の上乗せが得られていた。

原告が課せられていたノルマは平日85~91件である。
これは64列CTと16列CTの合算であるが、画質や保険点数の関係で64列CTが検査全体の76.8%~78.7%を担当していた。そのため原告が主に担当していた64列CTのノルマは65.3件~71.6件ということになる。

学術研究によると兵庫県においてはCT装置一台当たりの平均撮影数は28件、原告の病院と同じ規模の病院でも32.5件である。つまり原告は兵庫県の撮影件数の2~2.55倍のノルマを課せられていたことになる。

実際にこのノルマは概ね達成されていた。未達成は2015年(平成27年)5月のみで、この際は業務改善提案書の提出を求められて提出している。

病院の各検査数は保険診療であることから政府が全国統計を行っている。政府の全国統計において原告と同病床規模の病院の月間撮影数は装置一台当たり556件であった。これには夜間休日などが含まれることから補正を行うと日勤帯だけでは405件~449件である。

一方で原告が日勤帯に撮影したCTの件数は月間1253件~1542件となっており、全国平均の2.98倍~3.54倍の件数を行っていることになる。

また学術研究では適正人員配置についても論じられており、CTの同病院規模の適正配置数は1.4人である。これを踏まえると原告の担当していた64列CTの人員は2014年4月~2015年7月において1~1.7人の範囲で変化しており、概ね全国平均の2.55人分~4.56人分の業務量をこなしていたことになる。

被告はこれらの調査を怠り、原告が提出した資料を無視し、業務ノルマに追加で行われた
「医学物理士の資格取得要請」「CTC読影スキル習得課題」「CT被ばく線量の確認作業と撮影条件の再検証作業」の3つについてのみ検討し評価に値しないとしている。

これは明らかに不当であり、この出来事に対する評価は【中】となるべきである。

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