CIVIL CASE / 6th HEARING
原告 準備書面(4)
PLAINTIFF'S PREPARATORY BRIEF NO. 4 / JANUARY 28, 2026
準備書面(4)
令和8年1月28日 原告提出
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令和7年(ワ)第493号 地位確認等請求事件
原 告 原告X 外1名
被 告 社会医療法人 名古屋記念財団
準備書面(4)
(被告準備書面への反論と原告主張)
令和8年1月28日
名古屋地方裁判所民事第1部合ホE 係 御中
原告ら訴訟代理人弁護士 岩 井 羊 一
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第1 はじめに 原告らは、本準備書面において、令和 7年12月8日付被告の準備書面に対し、必要と認 める範囲で反論し、また訴状等の主張を補充する。 なお、略語については、本準備書面に おいて新たに定義するもののほかは、従前の例による。 第2 被告準備書面に対する反論 1 同1項と被告提出の乙第7・8号証(漏洩線量測定)に対する反論 被告は、乙第7号証(平成 21 年 5 月 7 日測定)および乙第8号証(令和 7 年 7 月 17 日測定)に基づき、 「CT室におけるX線漏洩は認められない」と主張する。しか し、これらの測定方法は積算線量(μSv)を指標とする方式であり、低線量の漏洩を 検出するには不適切であるため、被告主張は前提を欠く。 乙第7・8号証における測定条件は、いずれも 「1.5 秒スキャンを 10 回」 行い、 積算線量を読み取る方法である(乙第7号証2頁、乙第8号証2頁) 。乙第8号証の測 定仕様によれば、積算線量計の最小指示値は 0.1 μSv 未満であり、バックグラウン ド値も同程度である(乙第8号証3頁「バックグラウンド値 0.1 μSv 未満」 ) 。 しかしながら、原告は線量率計測(μSv/h)によって8 μSv/h の漏洩線量を確認 しており、その測定動画も証拠提出済みである(甲7)。8 μSv/h の環境下におい て、被告が用いたのと同じ方法(1.5 秒スキャン×10 回=合計 15 秒照射)で積算線 量を算出すると、 8 μSv/h × (15 秒 ÷ 3600 秒) = 0.033 μSv となる。 この値は、乙第7・8号証の積算線量計の最小指示値(0.1 μSv)を大きく下回る ため、被告測定方法ではたとえ原告測定と同程度の漏洩が存在しても、計測上は常に
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「0.0 μSv」と表示されることになる。 したがって、乙第7・8号証は「低線量漏洩を検出する能力(測定レンジ)を有し ていない」測定結果に過ぎず、これをもって 「漏洩が存在しない」 と結論づけるこ とは科学的にも実務的にも誤りである。 むしろ、原告らの主張する線量率測定(μSv/h)は低線量漏洩の検出に適した方式 であり、JIS 規格に基づく測定方法として合理性が高い。 また甲131に示す「病院又は診療所における診療用放射線の取扱いについて」と いう行政通達の43頁において以下のような記述がある。 「ウ 測定に際しては線量率測定で行うことを可能とするが、管理区域境界に係る 線量限度等が3月間当たりで規定されていることにかんがみ、1週間又は1月間等の 一定期間における積算線量による測定が望ましいこと。」 これによると積算線量で漏洩線量測定を行う場合は1週間又は1か月間の測定が 必要である。被告の依頼した専門業者が行った乙7・8号証も積算線量という方法で の測定であるが、1.5 秒曝射を10回行うという方法で行っている。この方法は、行 政通達の方法を満たしておらず、不適切であることは明らかである。 以上より、被告の主張する「漏洩なし」との結論は、測定方法自体の限界に基づく ものであって、本件CT室のX線漏洩の不存在を基礎づける根拠にはならない。 2 同2項「達成困難なノルマが課せられたについて」に対する反論 本件については、 原告準備書面 (2) および (3) で詳細に主張したとおりであり、 被告の主張にはいずれも理由がない。 被告は「ノルマではなく目標である」と述べるが、 ・毎朝の達成状況報告 ・不達成時の改善提案の提出(甲8・8頁)
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・逐次の目標引上げ(甲8) ・事実上、原告が最大件数を要求される運用 など、 実質的に 「達成義務のある数値目標」 であった点は既に主張したとおりである。 被告のいう「部署全体の目標」という形式論は実態と整合せず、反論の必要性も認 められない。 本項については原告準備書面(2)、(3)で主張したとおりである。 3 同3項「労働時間について」に対する反論 本項についても、既に原告準備書面(2)、(3)で詳細に主張したとおりであり、 被告の主張は実態に基づかない。被告は、 ・待機勤務が「稀である」 ・宿日直が「労働から解放されている」 ・更衣は労働でない と主張するが、これらはすべて既に反論済みであり、被告は原告らの提出した客観的 データ(勤務表、超過勤務記録、甲65審査官判断等)に対して正面からの反論をし ていない。 特に宿日直の労働性については、最高裁判例(平12.3.9)に反する主張であり、失 当である。 よって本項の被告主張に理由はない。 4 同4項「2週間以上の連続勤務について」に対する反論 本項も原告らの主張は原告準備書面(2)のとおりである。被告は独自に計算式を 作成して、宿日直によって連続勤務が途切れている旨を主張するが、 ・宿日直許可の不許可事例
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・奈良地裁判決の労働密度水準 に照らしても、原告の勤務状況が「極めて高密度であった」点は動かない。 よって本項の被告主張に理由はない。 5 同5項「感染症対応」についての反論 原告準備書面(2)で主張したとおりであり、被告反論には理由がない。 被告は「撮影件数が2倍でも結核対応が2倍とは限らない」と述べるが、撮影機会 が多ければ感染症対応の機会も増えることは明らかである。また、CT 撮影は呼吸器疾 患の初期評価に使用し、結核をその時点で疑ってなければ、空気感染対策用のN95 マ スクではなく、通常のサージカルマスクで対応することになるので被告の主張する感 染対策が取れていたということは誤りである。 6 同6項「不正会計」についての反論 本件は既に原告準備書面(2)で詳細に述べた通りであり、被告は矛盾する主張を 続けている。 特に ・病院関係者Hが撮影していない案件にHの名前を記載していた事実 ・これが診療報酬上の利益のためであること ・病院関係者Lの証言(甲5・21 頁) を被告が正面から否定できていない。 本項は業務起因性(違法行為強要)の主要論点であるが、原告らのこれまでの主張 が正当である。 7 同7項「本件の事情」についての反論 被告は、自死の理由は不明、パワハラの証拠はないなどと抽象的な否認を行うのみ
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で、原告が提出した ・実際の証言(甲87等) ・当時の記録 ・組織内の運用実態 に対して具体的な反論をしていない。 本項の被告の反論は単なる不知、不記憶にとどまり、 実質的な反論になっていない。 8 同8項「悪化時期」についての反論 本件についても被告の主張は前提を誤るものである。悪化時期に関しては甲119 および甲105、甲106の診療録等に基づき、原告準備書面(2)で主張したとお りと判断されるべきである。 9 同9項「上司とのトラブル」についての反論 被告が主張する違法行為、指示系統を無視したとの評価は、事実に反するものであ り、同項の大部分は原告準備書面(2)で反論済みである。なお被告は「この点、原 告も自分が混乱して指示系統を無視した行動をしたことを認めている(甲110の 1)」と主張しているが、甲110の1では「ちょっとあの時は指示系統もちょっと混 乱していたので」との発言はあるが、これは指示系統の混乱を指摘したもので、原告 自身が混乱していたとは言っていない。 10 同10項「感染症等の危険性が高い業務」についての反論 被告は、防護策が令和2年1月の直後の早い段階で確立されていたと主張するが、 ・COVID-19 の初期の混乱 ・クラスター発生時の院内オペレーションが定まっていなかった事実 ・実際の心理的負荷
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について正面からの反論をしていない。 この点も事実は、原告らの従前の主張のとおりである。 11 同11項「被告提出乙第13号証(36協定と親睦会)」に対する反論 被告は、乙第13号証に基づき「親睦会の代表者が労働者代表として36協定を締 結している」と主張する。しかし、乙第13号証は親睦会総会の議事資料であり、あ くまで福利厚生団体の運営に関するものである。 これは、文書冒頭に「親睦会総会(食事会ではありません) 」と明記されていること からも明白である。 労働基準法第36条および同法施行規則第6条の2は、労働者代表について ① 使用者の意向によらないこと ② 投票・信任など民主的手続により選出されること を要件としている。 ところが乙第13号証に記載されている選任方法は ・親睦会構成員による役員選任 ・総会欠席者から委任状を回収 というものであり、これは福利厚生団体の役員選任手続にすぎず、労使協定を締結す るために過半数代表者を選出することを明らかにしたうえでの投票ではないため、労 基法上の労働者代表選任要件を満たしていない。 乙第13号証はまさに36協定が無効であることを示している。 第3 結語 以上の通り、原告は、総合すれば心理的負荷の強度は「強」と評価するべき状況にあって、 統合失調症を発病し、さらに悪化させたのであるから、この統合失調症の発病および悪化は
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業務に起因するというべきである。 この場合に、自然退職扱いが違法であることは明らかで ある。また、安全配慮義務違反による損害の発生も明らかである。原告らの請求は認められ るべきである。 以上