ADMINISTRATIVE CASE / 12th HEARING
被告 第6準備書面
DEFENDANT'S PREPARATORY BRIEF No.6 / JANUARY 15, 2026
第6準備書面
被告第6準備書面 1 / 5
令和6年(行ウ)第13号 療養補償給付不支給処分取消請求事件
令和6年(行ウ)第40号 休業補償給付不支給処分取消請求事件
原 告 原告X
被 告 国(処分行政庁 名古屋東労働基準監督署長)
第6準備書面
令和8年1月15日
名古屋地方裁判所民事第1部合ホE係 御中
被告指定代理人11名
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被告は、本準備書面において、原告の令和7年10月31日付け準備書面(6)(以
下「原告準備書面(6)」という。)に対し、必要と認める範囲で反論する。
なお、略語は、本準備書面で新たに用いるもののほかは、従前の例による。
第1 院内暴力事案への対応に関する原告の主張に理由がないこと
1 原告の主張
(1) 原告は、院内暴力事案発生当日の看護記録(甲第134号証)の記載に基
づいて、「不穏患者は複数名に暴力を振るっており、また「ここへ来い!殴っ
てやる」との発言があることなどから、いつ怒りの矛先が原告に向くか分か
らない状況であった」(原告準備書面(6)・6ページ)と主張する。
(2) また、原告は、「さすまたの存在を知らされておらず、現着するまで凶器の
有無もわからない状態で対応しなければならなかった原告の恐怖感からすれ
ば、十分に心理的負荷が強いと言える」(原告準備書面(6)・6ページ)と
主張する。
2 被告の主張
(1) 前記1(1)の原告の主張について
ア 原告が原告準備書面(1)において「最終的に最初の事務職員以外は直
接的な暴力を振るわれなかった」(同74ページ)と主張していたことから
すると、原告は、前記看護記録を見て初めて、当該不穏患者が複数名に暴
行を加えていたことを知ったものと考えられる。
そうすると、原告は、当該院内暴力事案に対応していた当時は、当該不
穏患者が複数名に暴行を加えていたことを認識していなかったというこ
とになるから、当該不穏患者が複数名に暴行を加えていたことは、当該院
内暴力事案の心理的負荷の強度に影響しないというべきである。
イ また、原告の主張を前提にすると、原告がコードホワイトに対応して現
場に到着した時間は午後11時半頃であるところ、前記看護記録によると、
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それ以降に暴行を受けた職員はいない上、当該不穏患者の「ここへ来い! 殴ってやる」との発言も、原告が現場に到着した時間から40分以上が経 過し、当該不穏患者が当直師長を含めた女性看護師を見つけたときに当該 女性看護師に向けて発せられたものであって、当該不穏患者への対応は男 性職員が行っていたというのであるから、その時点では、当該不穏患者が 男性職員に対して暴行を加えるおそれは相当程度低くなっていたことがう かがわれる。 そうすると、「ここへ来い!殴ってやる」との発言があったからといって、 男性職員である原告に対しては、必ずしも暴行のおそれが高かったとはい えないというべきである。 (2) 前記1(2)の原告の主張について 原告の主張を前提にすると、原告がコードホワイトに対応して現場に到着 した時間は午後11時半頃であるところ、前記看護記録によると、コードホ ワイトは、午後11時13分にナースコールがあり、看護師が当該不穏患者 の病室に行って状況を確認し、ふらつきながら歩く当該不穏患者を別の病室 に移動させた上、主治医に電話連絡してその指示を受けた後、当該不穏患者 が興奮して病室から出てきて、制止しようとした看護師2名に暴行を加え、 さらに、ナースセンターに向かってきた時点で要請されたものであるから、 コードホワイトが要請された時点から原告が現場に到着するまでの時間は数 分程度であったと考えられる。 そうすると、原告が現場に到着するまでの間、恐怖を感じていたとしても、 その時間はわずかである上、そもそも、その恐怖感も、当該不穏患者が凶器 を持っているかもしれないという漠然とした不安感に近いものにとどまるか ら、被告第2準備書面13ページで述べたとおり、院内暴力事案への対応の 心理的負荷の強度は「弱」にとどまるというべきである。
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第2 原告が施設基準を満たしていない状態でCT業務を継続させられ、これが
「業務に関連し、不法な行為を強要された」に該当するとの原告の主張に理由
がないこと
1 原告の主張
原告は、令和2年に自身で計測した、病院の放射線管理区域の境界における
放射線数値を基に計算すると、厚生労働省によって定められた基準を上回って
おり、病院のCT室は設置基準に適合しておらず、その場合には、保険点数の
算定方法が変わり、その旨の届出をした上で保険算定を行わなければならない
ところ、これまで原告がCT業務に従事して行った保険診療は不適正であり、
「放射線漏洩の事実を知りながら、CT業務に従事し、保険請求を行わせ続け
られたことは、「業務に関連し、不法な行為を強要された」に該当し、その心理
負担は「強」である。」旨主張する(原告準備書面(6)7及び8ページ)。
2 被告の主張
(1) 原告の計測値をもって放射線漏洩の事実を認めることが困難であること
病院の管理者は、放射線障害の発生するおそれのある場所について、6月
を超えない期間ごとに1回、放射線の量を測定する義務があるとされ(医療
法施行規則第30条の22)、本件の病院も、同義務を遵守していたと考えら
れるところ、病院は、別件訴訟において、「CT室の鉛ガラスからX線が漏洩
していた事実は確認されていない。被告は令和7年3月19日に改めて測定
したが、漏洩している事実は確認されなかった。装置設置時から設備改修は
行っておらず、装置設置当時より漏洩している事実はない。」(甲第130号
証8ページ)として、放射線漏洩の事実を明確に否認していることからする
と、原告独自の計測値をもって放射線漏洩の事実を認めることは困難である。
(2) 原告が不法な行為を強要された事実が認められないこと
上記の点をおくとしても、病院が、放射線漏洩の事実を知りながら、原告
に対し、不適正な保険請求を強要したことを裏付ける証拠はない。
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むしろ、原告は、これまで、病院における放射線漏洩について、「病院関係
者Aに鉛ガラス窓を改修してほしい旨を相談した際にはこれを拒絶され
た。」、
「原告が放射線漏れに気付いてから発症まで約4か月、それまでの期間
も含めれば合計約2年の間、CT専従業務に従事していたのであるから、原
告は、長期間被ばくについて不安に感じていた。」などとして、認定基準の具
体的出来事14「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」の
心理的負荷の強度「中」の例に当たると主張するのみで(原告準備書面(1)
72及び73ページ)、不適正な保険請求について抗議したのに強要された
などとは一切主張していなかった。このような原告の主張経過に照らしても、
原告にとって強い心理的負荷となるような、不法な行為を強要された事実な
どなかったことは明らかであり、原告の主張に理由はない。
以 上