ADMINISTRATIVE CASE / 5th HEARING
被告 第2準備書面
DEFENDANT'S PREPARATORY BRIEF No.2 / OCTOBER 30, 2024
第2準備書面
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副本 令和6年(行ウ)第13号 療養補償給付不支給処分取消請求事件 令和6年(行ウ)第40号 休業補償給付不支給処分取消請求事件 原 告 原告X 被 告 国(処分行政庁 名古屋東労働基準監督署長) 第2準備書面 令和6年10月30日 名古屋地方裁判所民事第1部合ホE係 御中 被告指定代理人11名
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被告は、本準備書面において、令和6年(行ウ)第40号休業補償給付不支給処分取消請求事件(以下「40号事件という。」)の訴状における請求の原因に対する認否をするとともに(後記第1)、本準備書面において、前提となる事実関係について主張立証を補充しつつ、原告の本件疾病の発病については業務起因性が認められないことを改めて述べるとともに、40号事件の訴状、原告の令和6年6月27日付け準備書面(1)(以下「原告準備書面(1)」という。)及び同年8月28日付け準備書面(2)(以下「原告準備書面(2)」という。)に対し、必要な範囲で反論する。 なお、略語等は、本準備書面で新たに用いるもののほかは、従前の例による。 第1 40号事件の訴状における請求の原因に対する認否 1 「第1 当事者」について (1) 「1 原告」(2ページ)について 認める。 (2) 「2 原告の経歴」(2及び3ページ)について 第1ないし第4、第9、第11及び第12段落については認めるが、その余は不知又は争う。 2 「第2 原告の休業補償給付請求と被告の不支給決定処分」について (1) 「1 休業補償給付の請求」(3ページ)について 認める。 (2) 「2 原処分」(3ページ)について 認める。 (3) 「3 審査請求」(3ページ)について 認める。 (4) 「4 審査請求の棄却」(3ページ)について 認める。
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(5) 「5 原処分の違法性」(3及び4ページ)について 争う。 3 「第3 認定基準」(4ページ)について (1) 第1段落は、認める。 (2) 第2段落(「なお、」から始まる段落)は、認める。 (3) 第3段落(「以下、」から始まる段落)は、認否の限りではない。 4 「第4 原告の発病」(4ページ)について 認める。 5 「第5 原告の精神障害発病の業務起因性」について (1) 「1 原告の業務内容」(4及び5ページ)について 病院にはメインの64列CTとサブの16列CTがあることは認めるが、その余は不知。 (2) 「2 『上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた』に該当すること」(5及び6ページ)について 不知ないし争う。 (3) 「3 『達成困難なノルマが課せられた・対応した・達成できなかった』に該当すること」(6ページ)について 不知ないし争う。 (4) 「4 『1か月に80時間以上の時間外労働を行った』に該当すること」について ア 「(1) 原告の時間外労働」(6及び7ページ)について (ア) 第1段落は、争う。 (イ) 第2段落(「また原告は」から始まる段落)は、認否の限りではない。 (ウ) 第3段落(「待機時間を」から始まる段落)は、争う。 イ 「(2) 時間外労働の考え方」について (ア) 「ア 当直時間」(7ページ)について
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a 第1段落は、争う。 b 第2段落(「原告の」から始まる段落)は、認否の限りではない。 c 第3段落(「病院は」から始まる段落)は、第1文については認め、その余については不知ないし争う。 d 第4段落(「当直の日報によれば」から始まる段落)は、不知ないし争う。 (イ) 「イ 待機勤務」(7ページ)について 不知ないし争う。 (ウ) 「ウ まとめ」(7及び8ページ)について 争う。 (5) 「5 『2週間以上にわたって連続勤務を行った』に該当すること」について ア 「(1) 連続勤務」(8ページ)について 認める。 イ 「(2) 原処分庁、審査官の判断」(8ページ)について 第1及び第2段落(「また、」から始まる段落)は認め、その余は争う。 (6) 「6 『仕事内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があった』に該当すること」(8及び9ページ)について 第1及び第2文(「原告は」から始まる文)は不知、その余は争う。ただし、被告の令和6年5月2日付け第1準備書面(以下「被告第1準備書面」という。)の第6の2(3)オ(63ページ)で述べたとおり、本件疾病の発病前6か月目から5か月目までの間における時間外労働時間数の増加が「仕事内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があった」に該当し、その心理的負荷の強度が「中」であることは認める。 (7) 「7 『複数名で担当していた業務を1人で担当するようになった』に該当すること」(9ページ)について
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不知ないし争う。 (8) 「8 『顧客や取引先から対応が困難な注文や要求等を受けた』に該当すること」について ア 「(1)」(10ページ)について 不知。 イ 「(2)」(10ページ)について 不知。 ウ 「(3)」(10ページ)について 不知。 エ 「(4)」(10ページ)について 争う。 (9) 「9 『感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した』に該当すること」について ア 「(1)」(10ページ)について 不知。 イ 「(2)」(10及び11ページ)について 不知。 ウ 「(3)」(11ページ)について 争う。 (10) 「10 『顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた』に該当すること」(11ページ)について 不知ないし争う。 (11) 「11 『業務に関連し、違法な行為や不適切な行為等を強要された』に該当すること」(11及び12ページ)について 不知ないし争う。 (12) 「12 『業務に関連し、重大な人身事故、重大事故を起こした』に該当すること」(12及び13ページ)について
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不知ないし争う。 (13) 「13 小括」(13ページ)について 争う。 6 「第6 原告の精神障害の悪化」(13ページ)について 不知ないし争う。 7 「第7 原告の精神障害悪化の業務起因性」について (1) 「1 『上司とのトラブルがあった』に該当すること」(13及び14ページ)について 不知ないし争う。 (2) 「2 『感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した』に該当すること」(14ページ)について 不知ないし争う。 (3) 「3 悪化に業務起因性があること」(14及び15ページ)について 争う。 8 結語 争う。 第2 原告の本件疾病の発病に業務起因性が認められないこと 1 パワーハラスメントについて (1) 原告の主張 原告は、原告準備書面(1)第3の1(18ないし32ページ)において、病院関係者A(A技師長)及び病院関係者Jによる言動を述べ、原告準備書面(2)第2の1(1)ないし(4)(2ないし5ページ)において、当該言動について、パワーハラスメントに該当する具体的な内容を整理し、心理的負荷の内容と影響を述べた上で、その心理的負荷の強度は「強」となる旨主張する。
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(2) 被告の主張 被告第1準備書面第6の2・(3)ア(イ)(58ページ)で述べたとおり、A技師長らが、原告に対し人格や人間性を否定するような発言等をしていたことを裏付ける客観的な証拠は見当たらない。 この点、原告は、病院関係者との会話の記録(甲第3号証)をもって、上記言動が裏付けられていると主張するようであるが、当該会話がされるに至った経緯、会話が録音された状況、録音部分の前後の文脈などが明らかでなく、このような会話の記録をもって、直ちにA技師長らの原告に対する上記言動を裏付けることはできないというべきである。そもそも、上記会話の記録には、原告に対するA技師長らの上記言動があったことを目撃したなど、上記言動の存在を直接示す内容は含まれておらず、その内容からしても、原告に対するA技師長らの上記言動があったことを直ちに裏付けることはできないというべきである。 したがって、原告のパワーハラスメントについての主張には理由がない。 2 達成困難なノルマが課せられたことについて (1) 原告の主張 原告は、全国のCT撮影件数の平均と比較すると、原告は、通常1人では担当できない数を、経験等を駆使して目標を達成していたのであったから、達成困難なノルマではなかったとはいえないと主張する(原告準備書面(1)第3の2(13)・47及び48ページ)。 (2) 被告の主張 仮にCT撮影件数がノルマとして課されていたとしても、評価期間において達成されなかったのは平成27年5月のみであって、それ以外の月は達成していたのであるから、この出来事は、本件認定基準別表1の具体的出来事の項目8「達成困難なノルマが課せられた」及び項目9「ノルマが達成でき
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なかった」には該当しないというべきである。 なお、原告が引用する富山地方裁判所高岡支部令和5年11月29日判決(乙第10号証)は、車検契約の獲得件数を1か月25件とするとの達成困難なノルマが課されていたとの主張に対して、1か月当たりの車検契約の獲得件数のノルマは22件であり、米島店は複数回当該ノルマを達成していたことが認められるから、被災者が達成困難なノルマに向けた業務を行っていたとは認められないと判断している。 3 労働時間について (1) 原告の主張 原告は、原告の労働時間を算定するに当たっては、①病院の就業規則によって制服への更衣が労働準備行為として定められていたから、タイムカード打刻時刻の前後に更衣時間として5分ずつを加算すべきである、また、②甲第40号証のとおり、休憩時間が削減されていたから、その削除された時間も加算すべきであると主張(原告準備書面(1)第3の3(12)・63ページ)する。 (2) 被告の主張 ア 労働基準法の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、上記労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるものではないと解される(最高裁平成12年3月9日第一小法廷判決・民集54巻3号801ページ。乙第11号証)。ところ、病院の就業規則第五章「服務規律」第43条には、「職員は、常に他人に不快の念を与えない、定められた正しい服装で、勤務しなければなりません。」と規定されている(乙第1号証・367ページ)ものの、特に着替えを更衣室で行うことなどを定めた規定はない上、就業前及び終業後の更
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衣が病院の指揮命令下に置かれたものと評価すべき事情は見当たらないから、更衣時間を労働時間に加算すべき理由はない。 イ また、甲第40号証を見ても、原告が削除された休憩時間を算出した根拠が不明である上、病院の関係者は、原告は「休憩はよほどのことがない限り、きちんと取れており、きちんと休憩していたと思います。原告は休憩室で休憩しており、休憩室で寝ていました。」「休憩室で休憩していれば電話対応をすることもなく、原告には電話番をさせていませんでした。」(乙第1号証・358及び359ページ)と述べているから、評価期間において、原告の休憩時間が、その心理的負荷の強度に影響するほど削除されていたとは認められないというべきである。 4 2週間以上の連続勤務について (1) 原告の主張 原告は、2週間以上の連続勤務(待機勤務を含む。)について、たとえ通常業務と同種のものであったとしても、労働者が休日をとることなく連続して勤務を行ったこと自体の心理的負荷を問うものと解されるのであり、その後に振替休日を取得できたとしても、心理的負荷が弱いとはいえないとして、評価期間における連続勤務(待機勤務を含む。)の心理的負荷は「中」または「強」であると主張する(原告準備書面(1)第3の4・64及び65ページ)。 (2) 被告の主張 本件認定基準別表1には、具体的出来事の項目17として、「2週間以上にわたって連続勤務を行った」との項目があり、その心理的負荷の総合評価の視点には、「業務の困難性、能力・経験と業務内容のギャップ等、時間外労働、休日労働、業務密度の変化の程度、業務の内容、責任の変化の程度等」と記載されている(乙第7号証15ページ)。これは、具体的出来事の評価について、突然の事故の発生等により休日が取得できず、連続勤務を行った
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ことに伴う精神的・肉体的疲労等による心理的負荷を評価する視点を示すも のである。そして、「中」である例として、「平日の時間外労働だけではこな せない業務量がある、休日に対応しなければならない業務が生じた等の事情 により、2週間(12日)以上にわたって連続勤務を行った(1日あたりの 労働時間が特に短い場合、手持ち時間が多い等の労働密度が特に低い場合を 除く)」との記載がある。なお、令和5年認定基準では、同項目が具体的出 来事13の項に整理され、「2週間以上にわたって休日のない連続勤務を行っ た」とされている。 被告第1準備書面第6の2(3)エ(62及び63ページ)で述べたとおり、 原告に生じた連続勤務は、平日の時間外労働だけではこなせない業務量や休 日に対応しなければならない業務が発生したことによるものではなく、あら かじめシフト上で予定されていた土曜日の半日勤務や日曜日の当直勤務に従 事したことにより連続勤務となったものである。 したがって、原告が2週間以上にわたって連続勤務を行い、これらの勤務 には宿直及び日直の日が含まれていたとしても、あらかじめ予定されていた シフトに対応するものであって労働密度が低く、加えて、その後の休日も確 保されていることから、この連続勤務による心理的負荷の強度は「弱」と評 価するのが相当である。 なお、原告が指摘する広島地裁令和元年5月29日判決は、連続勤務を行っ た各期間の土日、祝日における業務内容を詳細に検討の上、「発病前おおむ ね6か月の間に2週間(12日)以上にわたる連続勤務を複数回行っており、 休日に対応しなければならない業務が生じたとの事情によるものと認めら れる」ことから、その心理的負荷の強度が「中」になると判断したものであ り(乙第12号証)、正に上記の具体例に当てはまるものである。 5 複数名で担当していた業務が1人になったについて (1) 原告の主張
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原告は、病院関係者Bの16列CT業務には、ある程度の時間の空白が存 在するところ、病院関係者Bは身体障害者4級であって、左手では紙を掴む 程度の動作が行える程度で、基本的にはCTに関する業務しか行っていな かったから、16列CTの検査実施記録上の空白時間には64列CT業務を 手伝っていたのであり、64列CTの業務については、原告は病院関係者B と担当していた旨主張する(原告準備書面(1)第3の6・67及び69ペ ージ)。 (2) 被告の主張 原告の主張を前提にしたとしても、病院関係者Bは、左手では紙をつかむ 程度の動作が行える状態であり、64列の業務については、手が空いた際に 手伝っていたにすぎないから、病院関係者Bが原告と共に64列CTを担当 していたということはない。 6 顧客や取引先から対応困難な注文や要求等を受けたについて (1) 原告の主張 原告は、本件認定基準別表1の具体的出来事の項目12に当たる出来事と して、①平成27年1月16日、撮影失敗後に依頼医師から、「撮影した画 像では右心房血栓の評価ができないだろ?誰が患者に謝ると思っとるんだ」 という指摘を受けたこと、②同5月19日、未受付のままCTの前で30分 以上待たされた患者が激怒したという事例があったこと、③同月22日、ク リニックから依頼されたCDを焼き間違えたことの責任を取らされたことを挙 げ、日頃の過密過度な業務の中で受けた上記のクレーム等は、相当に心理的 負荷になり、これらを総合的に判断すると、その心理的負荷は「中」である と主張する(原告準備書面(1)第3の7・69ないし71ページ)。 (2) 被告の主張 前記①の出来事については、飽くまでも職場の同僚から指摘を受けたもの
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にすぎないから、本件認定基準別表1の具体的出来事の項目12には当たら ないというべきである。 また、前記②及び③の各出来事については、謝罪等の事後対応を行ってい るから上記項目12に当たる余地はあるものの、これらの出来事を裏付ける 客観的な証拠は見当たらない。 7 感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事したについて (1) 原告の主張 原告は、原告準備書面(1)第3の8(4)(73及び74ページ)におい て、令和5年認定基準の別表1心理的負荷評価表の具体的出来事の項目14 に当たる出来事として、平成27年7月8日の宿直中に発生した事務職員1 名が殴られるという事案で、緊急呼集(コードホワイト)に原告を含む3名 で対応した出来事を挙げ、その心理的負荷は「中」であると主張する。 (2) 被告の主張 前記の出来事は、前記項目14には当たるとはいえるものの、その態様に 照らして重大な危険を生じさせるものとまではいえず、コードホワイトへの 対応自体も緊急事態発生マニュアルに定められており、原告を含む3名で対 応を行ったということであるから、その心理的負荷の強度は「弱」にとどま るというべきである。 8 業務に関連し違法な行為を強制されたについて (1) 原告の主張 原告は、病院関係者Aによる不正会計の強制を裏付ける証拠として、「病 院関係者L」との会話の録音データ(甲第3号証、甲第5号証21ページ) を提出している。 (2) 被告の主張 前記録音データには、原告が引用する部分(甲第5号証21ページ)に続 いて、要旨、「おそらく当時の技師長が指示を出していたとは思うんだけど、
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もうそのへんのところが、やっぱりその本人が居ないので絶対的な確認はと れていない状況です。で一番大事なところはそこだもんね。」、「その辺のこ とがちょっとみんなも何となくという感じで絶対的なことは分かっていない ので、他の色んなことも言った言わないとか、ほとんど誰も正確な記憶はな いし」と述べられている部分があることからすれば(甲第3号証の6)、前 記録音データをもって、「病院関係者A」による違法行為の指示があったこ とを裏付けることはできないというべきである。 第3 本件疾病の悪化及びその業務起因性は認められないこと 1 本件疾病が悪化したとは認められないこと (1) 原告の主張 原告は、令和3年3月中旬頃から、幻視が現れるなど本件疾病の症状が悪 化した旨主張する。 (2) 被告の主張 ア 幻視について 原告は、悪化の症状の一つとして幻視の出現を主張しているが、幻視は 統合失調症の陽性症状の一つであるものの、臨床的にこの状態の把握方法 は、検査で把握できないため、本人の訴えによるものでしかなく、医師は 幻視の訴えに関しての特徴を踏まえて総合的に判断の上で治療内容を決定 するものである(乙第13号証・2ページ)。 したがって、原告による幻視の訴えがあったとしても、これをもって直 ちに悪化があったいうことはできず、その後の治療内容等踏まえた上で、 悪化があったといえるかを判断すべきである。 イ 投薬内容について 原告には、本件疾病の療養に関してレキサルティが処方されているが、 その一般的な用法・用量は、通常、成人については、1回1錠(主成分と
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して1mg)の服用を1日1回から開始した後、4日以上の間隔をあけて 増量し、1回2錠(2mg)を1日1回服用するものとされている。 原告の幻視の訴えは、令和3年3月19日になされたとのことであるが (甲第106号証)、同日以降の投薬内容を見ると、レキサルティが1日 のうち1mgを1錠(夕食後)との処方がなされている。この投薬の状況 は、原告が幻視の訴えを行う以前の令和元年5月27日以降から継続して おり、原告が、幻視の訴えを行った日の以降も投薬内容に変更はない。 なお、投薬内容は、もともと、長期間、アリピプラゾール錠6mg(3 mgを2錠)であったが、令和元年5月20日から入れ替えを開始して、 同月27日以後、レキサルティ錠1mgを1錠(夕食後)との変薬があり、 以後、変更はない。この変薬に関しては、原告の症状が悪化したのではな く、社会的機能のさらなる改善を目的としたものと考えられる。 ウ 受診状況について 原告は、〇〇クリニックを平成28年4月1日に初診して以降 も同クリニックを継続して受診しているが、同クリニックの主治医(以下 「主治医」という。)は、原告から幻視の訴えがあったものの、これまで の原告の受診経過を踏まえ、それほどの危機感を認めなかったようであり、 診療録においても、主治医が原告に対して、症状の悪化や症状の悪化によ る休業の必要性を示す記載は確認できない。 エ 休業に至る経過 令和3年3月31日の原告と病院の院長及び事務長との会談記録(乙第 14号証・30ページ)には、「あとはまぁ(中略)僕は薬のせいかなと いう気もするのだけど」、「やっぱりある程度ちょっと例えば休息を取りつ つ体の回復というところに、まず今の状態のまま続けるのは若干リスクか なという気がするので」との院長の発言内容の記載があり、院長は、原告 の体調不良は、薬の影響によるものであるとの見解を示していた。
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そして、病院の産業医(以下「産業医」という。)は、主治医に対し、 原告が、令和3年5月1日より休業することに関して、令和3年4月9日 付けで診療情報提供書(乙第14号証・29ページ)により情報提供をし ているところ、当該診療情報提供書には、「日中の倦怠感の増悪が認めら れたり幻聴が聞こえる等の症状が悪化しているとのことで、御本人より、 このまま仕事を継続していってもつぶれてしまうのではないかとの不安か ら、休職にての療養を御希望されました。勤務に支障がある状況と判断し、 所属長と相談の上、統合失調症の病名にて、2021年5月1日から休業 措置を取らせていただきたく存じます。」と記載されている。 これらの記載内容によれば、原告が休業して療養を希望したことから、 産業医と所属長が相談して原告の休業の希望に職場が応じる旨を主治医に 報告したと考えるのが自然であり、主治医が原告の症状の悪化や休業の必 要性に関して何らの判断も示していないことを踏まえると、原告が休業し たのは、原告の訴えに対して対応したものに過ぎず、原告が休業したこと については、医学的な根拠はないというべきである。 オ 小括 以上のとおり、令和3年3月中旬以降の治療内容に変更は全く認められ ず、主治医による悪化の診断や休業の指示があったということも認められ ないこと、そして、前記休業に至る経過からすれば、本件疾病の悪化は認 められず、原告の主張には理由がないというべきである。 2 本件疾病の悪化が認められたとしても、その業務起因性は認められないこと (1) 「上司とのトラブルがあった」について ア 原告の主張 原告は、40号事件の訴状第7の1(13及び14ページ)において、 令和2年12月中旬、病院で新型コロナウイルスによるクラスターが発生 した際、原告の業務を巡って「病院関係者G」との間で口論があり、当該
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口論は「上司とのトラブル」に該当し、その心理的負荷は「中」であると 主張する。 イ 被告の主張 原告の主張する「病院関係者G」との間で口論があったことについては 客観的な裏付けがない。また、その心理的負荷の強度が「中」であること についての根拠も不明である。 よって、原告の主張には理由がない。 (2) 「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」について ア 原告の主張 原告は、40号事件の訴状第7の2(13ページ)及び原告準備書面(1) 第3の14(87ないし91ページ)において、令和2年12月に病院に おいて新型コロナウイルスのクラスターが発生し、令和3年1月末までに かけて対応しなければならなかったという出来事について、これが「感染 症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」に該当し、かつ、「新 興感染症の感染の危険性が高い業務等に急遽従事することとなり、防護対 策も試行錯誤しながら実施する中で、施設内における感染等の被害拡大も 生じ、死の恐怖等を感じつつ業務を継続した」に該当するとして、その心 理的負荷は「強」である旨主張する。 イ 被告の主張 原告は、病院関係者に新型コロナウイルス感染が確認された令和2年1 2月中旬以降、令和3年1月末にかけて対応しているため、この出来事は、 「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」に該当すると考 えられるものの、この時期は第3波(令和2年12月1日ないし令和3年 2月28日)の時期であって、行政による感染予防や防護対策等の周知も 確立された一定の時期であり、行政等から感染拡大防止としての支援を受 けて業務に対応したと考えられる。
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したがって、心理的負荷があったとしても、その強度は「中」に留まる というべきである(乙第13号証・4ページ)。 ウ 小括 以上のとおり、仮に原告に本件疾病の悪化があったとしても、その悪化 と業務との間に相当因果関係は認められないというべきである。 3 まとめ 原告が主張する本件疾病の悪化については、そもそも悪化は認められず、ま た、仮に悪化があったとしても業務による強い心理的負荷があったと認めるこ とはできない。 第4 結語 以上のとおり、本件各処分は適法であり、原告の請求は理由がないから、速 やかに棄却されるべきである。 以上